誕生日1日前

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「典子、仕事はどうだい?」 「うん、ぼちぼちかな」 父さんが私のグラスにビールを注ぎながら聞く。私とビールを飲めるようになったことを心から嬉しいと思っているのが顔いっぱいに表現している。 「それより、父さんビールは1杯だけよ」 「今日くらいいいじゃないか」 「だーめ」 そう言って父さんからビールの小瓶をしっかりと回収する。こうしないと本当に飲みかけない。父さんも母さんも長生きしてほしいのに。 「相変わらず、しっかりとした子だねえ」 父さんがしみじみと言う。そしてちょっとだけ、…ちょっとだけしんみりした顔で言った。 「こんなにしっかりしたとってもいい子だから、典子と結婚したいと言ってくれる男性もすぐ現れるはずなのに。どうしたもんかねえ」
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