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「か、辛ぇ…でも俺は負けないぞ!」
「ズルズル、ファイトー、ズルズル」
大神くんは顔を赤くして、水をガブ飲みしながら辛いものと戦い、僕はそれを眺め呑気にラーメンを啜る。
ほんとに美味しいなこのラーメン。
「主人公になりたい訳じゃないけど、オムライスは食べたい。でも売り切れる。まずこの学園に主人公と思われる人物はいるのだろうか。その人の近くをうろついてたらオムライス食べれるんじゃない?」
花野井くんはオムライスのことで不満げにぶつぶつ独り言を言っててまったく唐揚げ定食には手をつけていない。
もったいない、暖かい唐揚げがいちばん美味しいのに冷めちゃってるじゃん。
ちなみに湯気が見えるか見えないかくらいの暖かさが好み。
「花野井くん。唐揚げは出来たてが美味しいんだよ?食べな?」
「でも、オムライスが…」
「冷たい唐揚げって、わざわざ作ってくれた人に申し訳ないね…」
「……食べるよ」
モゴモゴ食べる花野井くん、ヒーヒー言いながら辛いのを食べる大神くん、ラーメンズルズル啜ってる僕。
バンッ
「やっと来たぞ!食堂!」
「「「「「「「「「「ギャアーーー!」」」」」」」」」」
「何あの銀まりも!」
「髪いたみまくってるし、ぼさぼさもさもさだし!」
「「「「「「「「「「無理!きもい!」」」」」」」」」」
それはそれは注目されまくる登場の仕方をし、辛辣な言葉を色んなところから言われている銀まりもは、ほんとに銀まりもだった。
あまり興味なかったけど見てみたらほんとにまりも。
しかも銀が地毛じゃない。根元が黒くなっている、ちゃんと染め直したほうがいいと思うよ。
ガチャ
「「「「「「「「「「「「「キャーーーー!」」」」」」」」」」」」」
「生徒会の皆様!」
「僕、直視できないよ…」
「「「「「「幸せ♡」」」」」」
「こんなにも美しい人々が集まるなんて奇跡だわ」
「「「「「「「「「「I Love You」」」」」」」」」」
「銀まりもほんと邪魔な位置にいるなぁ」
「皆様の輝きを遮っているじゃない!どきなさい!」
「黙れ」
銀まりもとは違って清潔感のある美形の集まり、生徒会役員集団生徒会長の、入学して2度目の『黙れ』頂きました。
そして静かになった食堂を生徒会役員集団は真ん中を堂々と歩いていく。
そんな目立つ集団に銀まりもが仁王立ちして言い放った。
「早乙女春樹!俺はお前の弟だ!」
より静まり返り、室内温度が下がった気がするなか僕は思った。
(僕って誰の弟だっけ)
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