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「何言ってんの〜?俺、弟いないよ〜?」
「気づいてないだけでいるんだぞ!それが俺だ!」
「うーん、もし俺に弟がいたとしても〜、君ではないかな〜」
「なんでだよ!あ、俺雪乃って言うんだ!聖雪乃(ひじりゆきの)覚えろよ!お前の名前は?」
「教えな〜い、どうせどっかで名前分かるんだし〜、わざわざ今教えなくてもいいじゃ〜ん。俺ら昼飯食べに来てるからどいて〜」
銀まりもを押しのけ生徒会集団は2階に上がっていった。
2階は風紀委員とか生徒会とかの役職のある生徒が食べれるところで、一般生徒は行くことが出来ない。
でもブラックカード持ちは普通に行けるらしい。
行かないけどね?
「もし弟がいたとして、あいつだったらマジ泣きするわ」
「「「「「「弟がいるのかもしれないだなんて…なんで僕は佐鳥様の弟にうまれられなかったんだろう…」」」」」」
「どうせ弟もイケメンなんだろうよ!」
わぁ、弟もイケメンだってさ。期待はずれな僕でごめんね、きっと君らの方がいい弟になれると思うよ。
本人が弟の存在を知っているのか知らないのかは僕にもちろん分からないけど、彼の前に現れるつもりは一生ない。
だって、お母さんが嫌がるだろうし。
大好きな息子が、大嫌いな僕に会うことになるなんて、天国から見ていたら嫌がるのは言われなくてもわかること。
だから僕はこうやって遠くから彼を眺めるだけ。
それが1番丸く収まるから。
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「完食。頑張った、俺」
「すごーい、えらーい」
「僕も僕も!唐揚げ食べ終わった!」
「…そっかー」
「反応の差辛ァ」
別に誰が好きとか嫌いとかで反応変わってるわけじゃないし、僕は変えたつもり無かった。
大神くんは頑張って食べたけど、花野井くんは普通に唐揚げ定食食べただけ。
だから僕は『そっかー』しか出てこなかった。これでも頑張って考えた結果なんだよ。
「そろそろ教室帰るか」
「そうだね」
僕らは銀まりもと生徒会との事なんてすっかり忘れて、周りがその事でざわざわしてる中普通に教室に帰っていった。
教室に着く頃には『この学園に正式に入るための試験説』はまったく頭にのこっていなかった。
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