424人が本棚に入れています
本棚に追加
【早乙女春樹】
見つからない。
昔のことをどんなに探っても弟の情報は出てこない。探し始めて最初の頃は結構すぐ見つかるもんだと思っていた、全然違った。
弟の存在が本当にあるのかすら疑い始めた頃、白馬鳥学園の入学が決まった。
母さんが死んでから、浮気して出ていった父さんの元に引き取られた。
父さんは海外で人気のブランドの社長をしていて、お金は沢山あるし世界中に別荘立てても何億か余るくらい。
俺が父さんの元に行くことになったのは父さんが日本に帰ってきたからだ。
浮気した相手と結婚はして長い間一緒にいたが、合わなかったらしい。
やっぱり母さんしかいないと思った父さんは日本に帰ってきたがそれは母さんが死んでからだった。
目に見えてショックを受けているようだったが、父さんは母さんをこっぴどく捨てたくせに何今更悲しんでるんだ、母さんの方が辛くて悲しい思いをしただろうに、そんなことばかり思っていた。
母さんはお前なんかに悲しまれたって嬉しくないのに。
ちょっとでも母さんを感じたくて俺を引き取ったと、一緒に暮らし始めてすぐの頃言われた。
別にどうとも思わなかった。
父さんとは呼ぶけれど家族だと思ってなかったから。
母さんも死んで父さんはいるけど家族じゃなくて。
俺の家族と言えるのはもうゆきしかいないんだ。
会いたいよ
最初のコメントを投稿しよう!