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「写真おしつけられて、何でかわかんないけど守らなくちゃいけない気がして走り回って、挙句には蛍光灯にぶら下がって逃げ切りました、ってことだよな?」
「そゆことです。」
「人間卒業か?よくあんなとこにぶら下がれたよな。そんな軽かったか?」
「ちびなんで」
「あ…」
ノーコメントも困るけど『あ…』は普通に傷つく。なんて人の心が分からない人なんだろうか。そりゃ高身長イケメンには分からないでしょうね、低身長でその辺にいるような顔してる平凡な僕の気持ちなんて。
少し不機嫌になった僕の機嫌とるかのようにフルーツサンドイッチを出してくる。
「すまんすまん、つい。とりあえずこれ食って機嫌直せ」
「いただきます」
食べはするけど機嫌が治るとは限らない。
「うま。」
「委員長、オレンジと桃交換してくれません?」
「なんで?」
「桃が好きだからです」
「まあいいが」
しぶしぶ桃サンドイッチくれる委員長やさしー。
桃を食べ終え、次はマスカット。
そうやって悶々と食べ進めるうちに合計10個もあったフルーツサンドイッチは胃袋に収まっていた。
2人で分けて僕は6個、委員長より2個多いからいい。
「この写真は本人たちに返しとくな」
「お願いします。あ、閉会式行かなくていいんですか?」
「出たいか?」
「今更めんどくさいです。」
「だろ」
そう言って堂々とソファに寝転ぶ。風紀委員の委員長の癖に閉会式行かないのはどうかと思うけど僕がどうこう言ったところで行かないだろうから静かにソファに座っている。
寝ているのか寝ていないのか分からないけどとりあえず心地が良さそうにしているのを見るとこっちも寝転びたくなるし眠くなる。
さすがに風紀委員でもないから寝転びはしない。けど……ちょっとウトウトするくらいはいい、よ…ね…………
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「……?」
目が覚め周りを見渡すと自分の部屋ではなく教室でもなかった。
働かない頭で何をしていたのかを必死に思い出そうとする。
「おはよーさん。よく眠れたか?」
「え、はい」
「写真は本人たちに返しておいた。ほどほどな時間に帰れよ」
「サンドイッチありがとうございました」
「おう」
思い出した、委員長の心地よさそうな寝息に誘われてしれっと寝たんだった。
それにしてもここのソファちょうどいい硬さで肩とか腰とかガチガチにならなくていい。寝るならベッドが1番ではあるんだけどね。
「帰ります。いろいろありがとうございました。」
「暗いから気をつけろよ」
風紀室を出るとあたりはそこそこに暗くなっており、新歓はもちろん終わっていた。
結果はどうだったのか全く気にならないけど自分は逃げ切った気がする。確か景品だかなんだか忘れたけどもらえた気がする。
「いらな…」
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スター700ありがとうございます!
たくさんのスターを頂いているのに最近3日に1回更新が出来ていないので6日に1回程になります。すみません。
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