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教室の前の扉から入ると珍しく澤上先生が教卓に立っていた。
そりゃそうだ、遅刻したんだから。
「どんだけ肝が座ってたら俺の前を堂々と歩けるんだよ、遅刻してんのによー」
申し訳程度に腰を曲げて澤上先生の前を通ると仏頂面で怒りかけている。
「言い訳みたいになりますけど、いつも通りの時間に登校したら新歓の時に追っかけてきた軍団が囲ってきて遅れたんです。」
「あー、誰か言ってたな。二階堂はいい。花野井、そろそろやばいと思った方がいいぞ」
「はーい。うっわデカっ…結腸までぶち抜けちゃう感じじゃん。最高、こんな凶器みたいなブツを生み出してくださった神に感謝。」
花野井くんの発言にクラスじゅうの何もかもがひいたと思う。電気の周りを飛び回るちっさなハエも教室の角にある見えないサイズのほこりもひくだろう。
そんな微妙か空気の中始まったHRもその後の授業もなんとなく空気が悪かった気がする。
いつも通りのクラスに戻ったのは昼休みの友達同士でお昼の食べてからだった。
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「花野井くん大神くん、また明日」
「またあしたな」 「ばいばーい」
少し話をしてキリのいいところで家へ向かった。そう、あの一軒家に。
過ごしやすくていいけど校舎までが遠くて朝から歩かされるって言うのは少し残念なところ。
そうやっていつも通りのたのたと歩いているときだった。
ピーンポーンパーンポーン
「…二階堂雪、今すぐ生徒会室に来るように」
「……なんかしたっけ…心当たりが全くないんだけど」
正直行きたくない、怒られるのが嫌とかじゃなくて後15分くらいで家に着くのだ。家から校舎までは約30分くらいかかる、つまりもう半分は歩いたということ。
ここまで来たら家まで一直線で帰りたい。
それに今から戻ってもすぐに生徒会室に行けるわけでもないから、今回は怒られる覚悟で帰ろう。
怒られることへの恐怖より帰りたい欲の方が強いことに衝撃だったけどもともとインドアだからそうなるか。
「人生いがいとどうにかなる、こんくらいのこと屁でもない」
そう言って力強く踏み込んだ、家へと。
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