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今日は子鳥のさえずりで目覚めるというなんかめっちゃ良さそうな感じだった。
そんな目覚めだったからだろうか。
癒し系おじいちゃんの社会が急遽2時間連続になった。それだけじゃなく委員長にもらってからひっそり狙ってたけどいつも売り切れてるフルーツサンドイッチを買うことが出来た。
こんなにいい日があっていいのだろうか。
このまま一日が終わってくれれば幸せだ、なんて思いながら授業を受けるとあっという間に放課後になっていた。
「また明日ー」
「「ばいばーい」」
もう家に帰るきまんまんだけど、大丈夫なんだろうか。
一日に一つくらいは嫌なことがある。
例えばあの4人組にガン飛ばされただとか、小テスト勉強し忘れたとか。
それがひとつもない。
なにか大きな嫌なことがありそうで不安になってきた。だけど家にさえつけば嫌なことなんてほとんどはない、だからとっとと帰ってしまおう。
そう思ってスピードを上げた時だった。
ピーンポーンパーンポーン
「…二階堂雪生徒会室に来なさい。来なかったら私が全力で追いかけに行きます。…怒らせたくなければ早く来ることを進めます。」
「……だよね。」
朝から気持ちいい目覚めを感じたせいですっかり忘れていた。昨日ガン無視かましてしまったことに。
声の感じからしてさすがに今回は行かないとヤバそう。
今来た道を引き返して走るか走らないかぐらいのスピードで校舎に戻る。
途中で憧れのアイドルにあった人みたいな動きをしている2人組みとすれ違う。
「追いかけてもらえるなんて幸せだね」
「あんな冷たい声で言われたら興奮しちゃう」
「そんな呑気なことが言えたらどんなに良かったことか」
きっと僕の立場になれば分かる、どんなに怖いかが。
「ここ右、左のような…いや右だよね」
直感を頼りに生徒会室に向かうとだんだん周りがゴージャスになってきているからきっとあっているのだろう。
新歓の時にお世話になった生徒会専用仮眠室がすぐそこに。
確か生徒会室と仮眠室は結構距離があった。
きっと走ったところで3分以上はかかるだろうしもし今すぐ着いたところで怒られるのは変わらない。
開き直ってゴージャスなこの道を鑑賞しながら行こうかと思ったけどなんとなく生徒会室の方向から邪悪なオーラを感じたからさすがに焦って走った。
心臓バクバクさせながら到着した時にはオーラが限界突破していた。
「まって…ない、す。お…かけ、ます。」
「う、かり…こ…さ、ない…ね」
そっと重そうで無駄に飾られている扉に耳を合てて中の状況を読み取る。
所々しか聞き取れないせいで結局わかったことはない。
ここでモタモタしていると相手がより怒ってしまうだろうから意を決して扉をノックした。
すると思いもよらぬような速さで扉が開かれいつもの笑顔が少し引きつっている副会長がいた。
「待っていましたよ、さあ中へ」
「…はい」
これ本当に生きて帰れないやつだと悟った。
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