門番

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ぼんやり扉の前に突っ立って20分が過ぎた。 暇だけど生徒会の業務をやらされるとかよりはマシだとおもって背筋を伸ばして門番をしていた。 「扉、なんで鍵付けなかったんだろう」 絶対安全なのに。理科準備室にもあるじゃん鍵、安全じゃん。 立ちっぱなしでそろそろ疲れてきたころ、急に生徒会室の扉が開いて中からまさかの会計という名の兄が出てきた。 まじまじと顔と頭を見る。 小さな頃のふわふわの髪質は変わっていないけど色はガラリと変わって金髪。 多分自分がしたら平凡がなにイキってるんだと思われるだろう。イケメンは何しても似合うんだなとしみじみ思う。 「マジメに門番してるー!えらー」 「まあ僕に非があるので」 「副会長、ちょっと短気なとこあるしめんどくさいでしょー?気をつけてねー」 「はい、できるだけ関わらないようにします。ご忠告ありがとうございます。」 「がんばー」 去っていく後ろ姿は昔見た時とあまり変わってない気がしたり。 姿が見えなくなると自分が突っ立っている廊下はなんの音もなく、謎の寒気がした。 そんな静脈を破ったのはどこの誰だか知らん下手くそな歌声だった。 「今日も〜今日とて〜打ち破る〜オラにとっちゃ〜あの扉〜まな板もしくはプ・ラ・板!〜今日のお供は〜チェーンソー!生徒会が〜待っている〜」 リズム感は嫌いじゃない、けどその歌声はお是時でも褒められない。 いやいや、そんなのはどうでもいい。 気にするべきことはその歌を歌っているのが銀マリモであることだ。 今日の銀マリモは染め直したのか根元までちゃんと銀だったけどモサモサしているところは変わり無さそう。 そしてチェーンソーを持つ姿を見て全てが繋がった。 「扉はすぐ壊される…つまり鍵をつけたところでお金の無駄ってことね」 だとしたら銀マリモはわざわざ壊す必要なくない?本人はあまり体力とか筋力とかありそうな体型はしていないからただただ疲れるだけというか。 銀マリモのことをずっと見ていると遠近法に騙されていたことに気づく。 体型が似てるんじゃね?なんて希望を感じていた自分を殴りたい。だって、身長なんて10cmは違うし肩幅も自分の1.5倍はある。 つまり遠くにいる人や物のサイズ感を見誤ってしまうと大変なことになるってこと。 「あの…危険物は持ち込まないで欲しい、です。」 「危険かもだけどな必要なんだ!人を傷つけるのに使うわけじゃないんだぞ?いいだろ!」 「あなたがそう思っていても操作を間違えることだってありうるじゃないですか」 「もう、うるさい!とっととそこどけよ!」 「だから危ないものはー「強行突破!」 そう言って銀マリモはチェーンソーの先端が僕に当たるような姿勢で走ってきた。 もちろん死にたくないから避ける。 そして避けた先には生徒会の扉。 副会長になんか言われないか不安になりながら扉を見るとチェーンソーが綺麗に刺さっていて、銀マリモは晴れやかな笑顔で言った。 「俺が待ち遠しかっただろ!来てやったぞ!」 ーーーーーーーーーーーーーー 長い間更新できずごめんなさい。 やっとテスト期間が終わったので今日からまた更新します。よろしくお願いします。
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