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ビクビクしながら副会長のお叱りを受けるのを待っていてもその声は全く聞こえてこない。
嫌なオーラを感じてそちらを見るとチェーンソーの刺さった扉から姿を現したのはやれやれ、とでも言いたそうな顔をする副会長だった。
「こういうのから私たちを守ってもらいたかったんですけどさすがに無理ですよね、銀マリモは。」
「だーかーらー!俺は銀マリモじゃないんだぞ!聖雪乃っていう可愛い名前があるんだからそう呼べよ!」
「名前に反してあなたは全く可愛げがありませんけどね。」
「照れんてるんだな!そういうとこ可愛いな!」
「「「「「「はぁ…」」」」」」
どんよりとした空気が漂う中銀マリモは何をどう勘違いしたのか分からないけど、生徒会は自分が来たのが嬉しすぎてツンケンしているんだと思い込んでいる。
あの好きな子ほど嫌がらせしちゃうあれ。
いや本当にこの状況を見てそんなこと思えるなんて随分とおめでたい頭をしているとしか思えない。
「なあなあー、俺の事大好きなのはわかったからつんつんしてないで遊ぼーぜ!」
そんなこと言ったら副会長の眉間のシワの数が増えちゃうじゃん。将来の美しいであろう顔を守るためにできるだけ銀マリモを黙らせたいところだけどそれは出来ない。なぜなら会計の本物の弟の存在が自分だとバレる可能性がある。
学園BLものでよくある実はめちゃめちゃハッキングのプロ設定だとかヤクザの息子で将来その道で生きていく設定だとかだったら情報全部持ってかれそうで怖い。
なんてことを考えながらこの地獄のような状況を存在を消しながら見守っていると先程まで2人でヒソヒソ話していた双子庶務が銀マリモに立ち向かった。
「「僕達お仕事あるから遊べないの!」」
「ほんとにやばいよね、朝陽」
「多分このままだと終わらないよね、夕陽」
「そ、そんなにやばいのか!?」
「「うん…」」
彼らが言っていることはだいたい全てあっている。
どうせ銀マリモがいなくなっても仕事に手をつけるつもりなんてないくせに真面目にやりますアピールしちゃって。
ずっと門番してたけど君らのこそこそと楽しむ声と副会長のどデカいため息と舌打ちしか聞こえてこなかったからね。
そんなことも知らない銀マリモは信じ込み扉に刺さったチェーンソーを抜いていた。
意外とあっさり引いていくタイプ。
手こずることなくするっと抜き、扉を見て一言。
「気にする程じゃないな!」
(((((((誰もがきにするわ。)))))))
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