門番

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「雪からの電話嬉しすぎー「何あの銀マリモ。なんでこの学園への転入許したの。」 「ぎんマリモ?新しい食べ物でも開発したの?」 「あれだよ、会計の弟だって言って生徒会室の扉破壊していく銀頭で頭のネジ吹っ飛んでる転入生。」 「あー…」 無事に門番としての役目を果たし、家に帰宅すぐに父さんに電話をかけた。 最初は全く分かってなかったみたいだけど完全に銀マリモを思い出した父さんは悔しさ、申し訳なさ、反省、気まずさを込めた『あ』を発した。 そしてたっぷりたっぷり時間を使ってからまた話始めた。 「なんで転入許したか、だよね。簡潔に言うと…まさかこんなにも暴れん坊だなんて思わなかったからかなー」 「じゃあ、転入させることになった成り行きは?」 「そのぉ、業界が違うからあまり関わったことがなかったんだけど、ある社長さんが趣味で喫茶店を開いてたんだよ。コーヒーが美味しいから良く行ってて、仲良くなったわけ。で、その人が社長であることとか息子に手を焼いていることとか入学早々に退学になって困っていることとかを聞いて…うちに是非ってその場の勢いで言って、この状況。」 「おばか」 「そんなお口の悪い子に育てたつもりはありません!でも間違ってはない!それにおをつけてばかって言ったから全然可愛い!」 わざわざそこ褒めなくていい。 まぁ、そういうとこ嫌いじゃないんだけど。 自分に害がなければ別に銀マリモなんて放っておいてもいいと思っていた。 だけど今、嫌でもほぼ毎日会ってしまう状況に置かれている。父さんに電話してどうにかしてもらおうとしているのは自分のためだけで、生徒会が得をするのならちょっと感謝して欲しいとか思ってるくらいだ。 「銀マリモくんだっけ?うん、あの子のこと野放しにしてちゃダメだよね…停学はちょっと社長さんと気まずくなっちゃうから無理かな。あそこのコーヒー本当に美味しくてね。今度一緒に行こうね!」 「うん。で、どんな措置をとるつもりで?」 「ちょっと停学にするの気まずくてコーヒー飲めなくなっちゃうから…3週間雑用でどうでしょう」 「雑用、もっと詳しく。」 父さんのいう雑用はこんな感じ。 ・全てのトイレ掃除 ・全ての花壇の水やり ・生徒帰宅後の教室の掃除  (移動教室、食堂、廊下などを含む) ※しかししっかり授業は受けること こんなもんか、なんて思うかもしれない。 この学園を甘く見てはいけない。 この学園が所有している敷地は東京ドーム何個分、なんかじゃ表せない。東京ネズミーランドの何十個分だと言われている。 山もあれば川もあり、少し歩くが海にも面している。 つまり、全てとついている課目は海や山、川に作られた生徒のための施設にあるものも含める。しかも他の生徒と同じように授業を受けなくてはならない、これを3週間だ。 普段から温厚な父さんにしては想像がつかないくらいに凄いことを考える。 もちろん銀マリモにやらせるけど。 父さんと電話をした次の日から生徒会室に銀マリモが現れることは無くなった。 その代わりに校内をげっそりした顔で駆けずり回る銀マリモには見かけるようになったけど。
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