第二話「謎の手紙」

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第二話「謎の手紙」

 静かで穏やかな春の日。金城サキは戦慄していた。この前の泥んこ事件からあまり日数も経っていないのに、下駄箱に入っているこれはなんだ、新たな事件の火種なんじゃないか。こんな思考が頭の中でぐるぐるしている。 「まいったな……」 「火種」というのは手紙のことであった。これを入れたのが誰なのかは分からない。何かを破ったような紙で作られた便箋に入れられている。ちんちくりんの自分にはありえない、と思っていたがもし男子からだったら……。下駄箱まで侵入して入れたなんて考えにくいけど。男女七つにして席を同じくせず、交際なんて以ての外なこの世の中、今度こそダメかもしれない。 「サッちゃんどうしたの? 早く行きましょうよ」 隣にいた文代が不思議そうに声をかけ、その直後でサキの手元にある物体の存在に気づいてあっ、と声をあげた。サキも思わずあっ、と声をあげて後ろにそれを隠す。 「これは、えーと、別に変なものじゃないよ、ただね……」 視線が泳いでいる。慌てているときの癖みたいなものだった。 「下駄箱に入ってたの?」 「……え、えーと……そうだよ」
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