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「さぁ? お友達になって手紙をやりとりしたいんじゃなくて?」
二人で顔を見合せていると、突如後ろから声がかかった。
「あの! そ、それ、え、エス……じゃないですか⁉」
「わっ! びっくりした……」
振り向くと、同学年と思われる少女が前のめりになって立っている。
「文ちゃん、えす……?って何?」
文代も首をかしげている。
「え、エスは、上級生のお姉さまと下級生が特別仲良しになる関係のことですよ、えと、由来、由来はあの、忘れましたけど……ああ、でもとっても素敵なんです、まさか目の前でその手紙を見られるなんて思ってもみませんでしたよ羨ましい……」
後ろの少女は興奮しているのか、畳みかけるように早口でしゃべり続けたのち、ハッと我に返り、
「あ、ああっ! すみませんでした‼ 喋りすぎちゃった、あ、では、また‼ さよなら‼」
一礼し、逃げるようにドタドタ音を立てながら走り去ってしまった。
「ちょっと待って! それだけじゃよくわからないよ!」
「弘子ちゃん! 廊下は走らないで頂戴ね!」
「……」
一瞬の静寂。
「あの、なんで名前覚えてるの?」
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