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四月の初めに簡素とはいえ、喜びに満ちた入学式を迎えたサキと文代。二人は憧れの裾に沿って白線の入ったスカート……ではなくモンペを下に履き、近所の人のお下がりとはいえ蓮女のセーラーに身を包み、意気揚々と新生活に期待を寄せていた。が、そこで待っていたのはペンを握る勉強の日々ではなく、鍬を握って校庭を耕す作業の日々であった。……実はサキにとってその辺は大した問題ではない。作業が多いのは非常時だから当然なのだ。問題は……
「またやらかしちゃった……」
「元気だして、また次頑張ればいいんだから。ね!」
「でもこれで何回目だろ……」
「私だって沢山失敗してるのよ、気にすることなんてないわ」
「全然してない!文ちゃん級長でしょ! それに文ちゃんが怒られてるところ見たことないよ!」
この日は散々な日だった。久々の授業に喜んだのもつかの間、指されてもうまく答えられず、裁縫では針を落っことしその出来も……と、あまりにも悪いことが起こりすぎていた。
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