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翌日。晴れ空の下また畑仕事だ。昨晩も結局失敗をなくす良い方法は見つからなかった。ここ 最近の考え事はもっぱらそれだった上、毎回見つからないのでもう慣れっこではあったが。人間 何事にも慣れるものだ。半ばやけくそ、と言った感じで鍬を振り下ろし続ける。
「あら、今日は校長先生がいらしているのね」
隣で作業をしていた文代が何気なくこう発した。どうやら蓮咲高女の校長が作業を見に来たようだ。
「ここでしくじったら我が一年二組の恥になるわよっ」
文代のさらに隣にいた峯子がサキの方をキッと睨み釘を刺す。文代は若干困り顔である。
「わかってる……」
言われなくたってそれくらい理解できる。サキはなるべく彼が早く帰ってくれることを祈り、作業に専念することにした。なるべく目立たないようにひたすら手を動かす。が、やはり校長のいる 方向が気がかりで仕方なかった。そのせいで……何度かきちんと耕せていないと級長組に小声で 注意を受けた。
その暫く後。校庭の畑には、何故か女学生たちと共に作業に取り組む校長の姿が。
「いやぁ、見てるだけというのも忍びなくてね。少しの間だけになるけど参加させて欲しいんだ」
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