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「そう……ですか」
こう言って二組担任の片倉ヤエを説得し、鍬を持って混じったのである。
「精が出るね」
「頑張ってくれてありがとう」
労いの言葉をかけつつひたすらに手を動かす姿に、女学生達の間にはよく分からない緊張が走っていた。しかし同時に、偉いから、と言って威張らない校長に感銘を受けてもいたのだった。
そんな中、サキはといえば頼むから私が何かやらかす前に帰ってくれ、と目の前にやってきた校長の背中を眺めつつ作業をし続けている。
「級長、じゃ今からここに肥かけるわね」
サキたち三人……いや校長含めて4人の前に一人、いつの間に文代に呼ばれたのか肥桶つきの天秤棒を担いだ女学生がやってきた。
「淑子ちゃん、お願い」
淑子は天秤棒を床に置き、柄杓を取り出すと慣れた様子で肥を撒く。
「そこ、どいて」
彼女はサキのいる辺りが少々気になったようで、そう促した。
「わかった。あ……あっ…! わっ!」
次の瞬間……地面をよく見ていなかったためか、ぬかるんだ地面に足を取られて思い切り滑り、前のめりに倒れてしまったのだ。それだけならまだ良かったのだが……
「嘘…… 」
「サッちゃん…… 」
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