365日、いつでも美しい

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「この写真、コンテストで絶対、入賞します。だから、それをチェックしてください。この村が主催している小さいコンテストですが」 「分かりました、ホームページで見るようにします。ところで、まさか目が隠れている写真を応募するってことはないですよね?」  男性は、ビクッと体を震わせて背筋を伸ばした。 「いや、その、どっちにするかは決めてません」 「まったく、そっちも候補にしようとしてたなんて。まあ、お任せしますけど」  私は不満そうに頬を膨らませる。  男性は照れ臭そうに頭を掻いてから、腕時計を見た。 「そろそろ行かないと。さっき捨てた紙切れ、ちゃんと拾ってくださいね。『来た時よりも美しく』ってやつです。僕、拾い終わるまで見てますから」  いくら腹が立っていたとはいえ、見知らぬ土地を汚して帰るのは良いこととは言えない。私は「わかりました」と言ってバッグからコンビニの袋を取り出した。  そして、草に混じって落ちている紙切れを拾い集めた。 * * * 「ふう、疲れた~。これで全部。もう、いいかしら?」  五分ほど地面を這いつくばって、散った紙切れを集め終えた。  立ち上がり、振り返る。  しかし、そこに男性の姿は無かった。 「何よ。帰るなら、そういえばいいのに……」  いつ立ち去ったのか……まったく気が付かなかった。  私はスマホで時間を確認した。 「やばっ、駅まで遠いし、そろそろ帰らないと」  コンビニ袋をバッグに詰めて、公園をあとにした。
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