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ぼうっとしながら歩いていたからかもしれない。
ひとり暮らしをするマンションへの道を一本曲がりそこねた。
無意識に信号を渡ってしまったので、次の角を曲がって帰るしかない。
普段は通らない道に入ると、橙色の提灯がぶら下がるお店が目に入った。
「いい匂い」
出汁の匂いと、炊きたてのごはんの匂いがした。
こぢんまりとした日本家屋のような店構えと、漏れる光に誘われて店に入る。
表札のかかる場所と提灯に「はこぶね亭」と書かれていた。
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