不思議なお食事処

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ごはんの量は少なめで、具はたっぷり。 配分も少食なひかり好みだった。 具だけもう少し食べたいなぁ、と贅沢なことを考えていると、冷たいほうじ茶が運ばれてきた。 「おかわりはいかがですか?」 「ありがとうございます。すごく美味しかったです。でも2杯は食べられないかも」 「具だけのおかわりも出来ますよ」 「本当ですか?」 「ええ。おかわり、持ってきましょうね」 老人は嬉しそうにそそくさと厨房に消えていく。 すぐに、取り皿に親子丼の具だけが乗ってきた。 「たくさん食べてください」 「ありがとうございます」 2杯目の具も相変わらず美味しくて、どんどん食べ進めてしまう。 米に吸われない分、甘じょっぱい出汁の風味が強く味わえる。 あっという間に食べ終えると、皿には絵柄が描いてあった。 うさぎの柄。 「これ、懐かしいなぁ。小さい頃私が使ってたお皿と一緒」 茶色の毛並みのうさぎがオーバーオールを着て、人参を持っている。 その皿に、よく祖父が食事をよそってくれたものだった。
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