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宴会が始まり、私は桜咲さんの横で、自分用に買ったさくらんぼのチューハイに口を付ける。
「おいしい」
私は、全く上を見上げることなく、お酒とお料理だけを楽しむ。
「お前、ほんっとに花より団子だな。ちょっとは女子らしく、綺麗〜!とか、素敵っ!とか、ぶりっ子して言えないのかよ」
桜咲さんはビールを飲みながら、私を見て笑う。
私はちらりと桜咲さんに目をやるが、そのまま手元のチューハイに視線を落とす。
「私、桜、嫌いなんですよ」
ぼそっと呟く。
けれど、桜咲さんはその小さな呟きを聞き逃さなかった。
「桜が嫌いって、何でだ? 毎年、花見に来てるけど、そんなこと一度も言ったことないだろ?」
桜咲さんは、怪訝そうに私の顔を覗き込む。
私は、ポツリポツリと3年前の出来事を語った。
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