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今日はボクの誕生日。
学校からの帰り道で、イツキは思わず早足になった。だって、今日はママも早く帰ってくるって言ってたから。
いつものところで友達と別れて、ランドセルを揺らしながら半ば走り、大きな通りから細い道に入って、ようやく家まで辿り着いた。
ランドセルの横に付けた鍵のリールを引いて、ドアの鍵穴に差し込む。
がちゃりと音を立ててドアが開くと、奥のリビングからは、水色のセキセイインコのココがにぎやかに囀った。
「ただいまー」
靴を脱いで、急いでリビングに入る。そして重かったランドセルを、思いっきりソファに放り出した。ついでに体操着袋も。ママに見つかったら怒られそうだけど。
イツキの帰宅に、水色のセキセイインコのココは、かごの中で落ち着きなく止まり木の上を行ったり来たりしていた。
「タダイマー!タダイマー!」
ココがいつものように、囀りながら甲高い声で真似た。いつのまにか家族の口癖を覚えている。
「ココ、ただいま」
そのとき、裏庭側の奥の台所の方からガタンと大きな音がした。
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