誕生日

1/3
3人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
今日はボクの誕生日。 学校からの帰り道で、イツキは思わず早足になった。だって、今日はママも早く帰ってくるって言ってたから。 いつものところで友達と別れて、ランドセルを揺らしながら半ば走り、大きな通りから細い道に入って、ようやく家まで辿り着いた。 ランドセルの横に付けた鍵のリールを引いて、ドアの鍵穴に差し込む。 がちゃりと音を立ててドアが開くと、奥のリビングからは、水色のセキセイインコのココがにぎやかに(さえず)った。 「ただいまー」 靴を脱いで、急いでリビングに入る。そして重かったランドセルを、思いっきりソファに放り出した。ついでに体操着袋も。ママに見つかったら怒られそうだけど。 イツキの帰宅に、水色のセキセイインコのココは、かごの中で落ち着きなく止まり木の上を行ったり来たりしていた。 「タダイマー!タダイマー!」 ココがいつものように、囀りながら甲高い声で真似た。いつのまにか家族の口癖を覚えている。 「ココ、ただいま」 そのとき、裏庭側の奥の台所の方からガタンと大きな音がした。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!