平穏な日々

ﾌｧｰｽﾄ･ｺﾝﾀｸﾄ

今日は運良く座席に座る事ができた、車両の中央にあるひとつだけ色の違う場所がポッカリ空いており一礼して席に着いた。いつもならすし詰め状態で身動きが取れないのだが座っていると何だか違った世界に見え滑稽に思えた。電車は間もなく動き出し無機質なアナウンスが流れる頃、１人の大男が押し流されオレの前に立ちふさがった。強面な顔つき、レスラーのような屈強な体格、オレは関わるとヤバいと本能的に察知し、寝たふりを決め込む事にした。次の瞬間、車両が大きく揺れ奴は持っていた大きなボストンバッグをオレの膝の上にドカッと置いた、ウッ！と声を発するオレに覆いかぶさるようにガラス窓に手を突き低くドスの利いた声で｢そいつを来年の今日まで預かっといてくれや！｣とのたまい、有無を言わせず次の駅で降り人混みの中へ消えていった。