イレギュラー

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イレギュラー

どうしよう!何も言えなかった、何ひとつ抵抗出来なかった。奴は何者でこのバッグは何なんだ… 組事務所の資金を横領してきたのか、現金輸送車でも襲って強奪してきたのか、有らぬ妄想ばかり頭に浮かんで息が詰まりそうだ、それにしても尋常な重さではない。もしかしたら遺体の一部が入っているのかも…怖くて仕方ないが残念な事に次の駅で降りなくてはならない。 そうだ!駅員に事情を話して拾得物として処理してもらおう。それがいい。と自分に言い聞かせ降りる準備をして人をかき分けて、乗降口を目指した。 重いバッグを両手で持って助役室へ向かった「あの~」オレは申し訳なさげに部屋に入ると、奥から神経質そうな駅員が出てきて「何?荷物預かり所は5・6番出口の横ですよ!」と早口でまくし立てられ、オレは「そうではなくて…」車内で起こった事を話しましたが、駅員は「それは気の毒に…しかしながら得体の知れない物は預かれません。直接、交番へお持ち下さいませ。」マニュアル通りの答えに面食らったがオレも時間がないので一旦引き下がり、コインロッカーにそれを押し込み出社する事にした。
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