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どのくらい経ったのだろう。
ほおっと息を吐く。折り曲げて抱えた両方の膝の丸い部分が、一時だけ白く染まった。空気は湿ったにおいを漂わせ始めている。きっと、もうすぐ雨が降るのだ。
私は一年のうちのほとんどを、キャミソールにパーカーにジーンズ、それに裸足っていう格好で過ごす。そのくらいしか服を持っていないせいもあるけど、あんまり外に出ないから、それで事足りてしまうのだ。でも、このまま夜通し冬の室外にいたら、雨に濡れたら、間違いなく凍えてしまう。
パパはそうなってもいいって思ったってことだ。
でも、凍死なら眠るように意識を手放せると聞いたことがある。眠ったまま命の灯が消えて、私は星になる。それもいい。それでいい。
今夜の空みたいな、重く垂れ込めた雲の上に隠れた星になって、誰からも焦がれられたい。
じんじんと疼くのは、熱いシチューを被った額だけだ。
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