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僕は何が起こったのかと椅子から立ち上がると、そこには先輩の二人が書類を落としたり、椅子を横に倒すなどをしていた。その様子を見ていた僕に気が付いたのか、二人はこちらを見る。
「なぁ、あいつだよ。大人しくて言いたいこと言えない後輩ってのは」
「ああ、いつも思うけど弱そうだもんね」
「だろ。こんな後輩どうスっか」
と僕の足元を見て二人は言うと冷笑をする。
「ストレス発散のために使わせてもらう?」
「お!いいなそれ」
どうしよう……。何か言い返さないと……でも、どうやって言い返す?僕が頭の中で考えているとすぐにあの父親が脳裏をよぎる。途端に僕はそれは駄目だと言い聞かせた。でも、これ以外にどうやって言う?もしかしたら……僕は二人の圧で言い負かされてしまうかもしれない。それならー。それをやるんだったら簡単だ。毎日のように見てきたことだから。でも、そんなの……間違ってる……。ただ単に恐怖で縛り上げるだけだ。そんなの僕が一番わかってるはずじゃないか。
「何にも反応無しか」
「笑えるなー!」
と言いながら二人は社内を荒らしながら、僕の目の前まで歩いてくる。
「今どういう気持ちだよ」
「何か答えたらどうだい?」
「おら!」
そう言う二人は指を鳴らして勢いのまま僕の顔面を殴ろうとした。僕は即座にその手を掴むと、
「ドン!」
という鈍い音が響き渡り、僕は彼を殴りつけた。
僕はなんてことをしてしまったのだろうか。
帰宅してすぐに僕は後悔をした。確か、あの時、彼を殴りつけて……その後のことは上手く思い出せないが、こんな僕のことだ。きっとー。……明日どんな顔して行けばいいだろうか。そう思いながら、居間のドアを開ける。
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