エッグの中身は因果応報

5/10
前へ
/10ページ
次へ
 僕は何が起こったのかと椅子から立ち上がると、そこには先輩の二人が書類を落としたり、椅子を横に倒すなどをしていた。その様子を見ていた僕に気が付いたのか、二人はこちらを見る。 「なぁ、あいつだよ。大人しくて言いたいこと言えない後輩ってのは」 「ああ、いつも思うけど弱そうだもんね」 「だろ。こんな後輩どうスっか」  と僕の足元を見て二人は言うと冷笑をする。 「ストレス発散のために使わせてもらう?」 「お!いいなそれ」  どうしよう……。何か言い返さないと……でも、どうやって言い返す?僕が頭の中で考えているとすぐにあの父親が脳裏をよぎる。途端に僕はそれは駄目だと言い聞かせた。でも、これ以外にどうやって言う?もしかしたら……僕は二人の圧で言い負かされてしまうかもしれない。それならー。それをやるんだったら簡単だ。毎日のように見てきたことだから。でも、そんなの……間違ってる……。ただ単に恐怖で縛り上げるだけだ。そんなの僕が一番わかってるはずじゃないか。 「何にも反応無しか」 「笑えるなー!」  と言いながら二人は社内を荒らしながら、僕の目の前まで歩いてくる。 「今どういう気持ちだよ」 「何か答えたらどうだい?」 「おら!」  そう言う二人は指を鳴らして勢いのまま僕の顔面を殴ろうとした。僕は即座にその手を掴むと、 「ドン!」 という鈍い音が響き渡り、僕は彼を殴りつけた。  僕はなんてことをしてしまったのだろうか。  帰宅してすぐに僕は後悔をした。確か、あの時、彼を殴りつけて……その後のことは上手く思い出せないが、こんな僕のことだ。きっとー。……明日どんな顔して行けばいいだろうか。そう思いながら、居間のドアを開ける。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加