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男は危険!? アインツ様による講座開講
「ベロニカ嬢、おいで」
アインツ様に呼ばれてそちらへと歩いていく。
「はい、アウト。ベロニカ嬢はたった今、自分から犯されに来ましたね。女性は男性の力には敵わないので、基本的に知らない男性、知っているけどそこまで親しくない男性には極力近付かないこと」
開始3秒でアウトになった。
「じゃあ次」
そう言って、いきなりアインツ様に押し倒された。
「………? なんですか? いや、あの、痛いんですけど」
「はい、アウト。言葉だけじゃなくて全身で抵抗して。ワンチャン魔法使っても正当防衛で許されるから」
「はぁ………」
もう意味が分からない。
「では、次」
アインツ様の顔が近付いてくる。
「あの、殺されますよ」
「はい、アウト。てか誰に?」
「後ろ」
アインツ様が振り返ると、真後ろにヴァイス殿下がいた。
「うわっ! 兄上危ない」
「お前、まじで殺す。ベロニカに手出してんじゃねぇよ。ベロニカは俺のだ」
「まだ何もしてないし、これからするつもりもないけど。兄上じゃあるまいし」
「………は?」
わざとヴァイス殿下の地雷を踏みにいく勇気を持っているアインツ様素直に尊敬。
「てか、『俺のだ』ってなに。ベロニカ嬢は確かフリーだったよね」
「………さっき、求婚したら良いって言われた」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「……………………………………………はぁ!?」
ものすごく間があいて、アインツ様が叫んだ。
だからこのタイミングで言いたくなかったんだ。
「え、ベロニカ嬢、それ本当?」
「多分………。一応そういうことになりました」
「なんて他人事。なんて適当さ」
「だめだよ! お姉様、あんなやつだめ!」
ドミ………本人の前で言っちゃだめなやつ……………!!
「うっせぇ黙れガキ。そこでアインツと茶でも飲んでろ」
「あんたこそ、階段から落ちて病院送りになれば良いのよ!」
なんか、いきなり過激になったな。
「『茶でも飲んでろ』に対して『病院送り』はおかしいだろ。バランス考えろ。だからガキって言われんだよ」
「貴方に言われたのが初めてよ!」
今度はドミとヴァイス殿下の口論が始まった。
「はい、喧嘩禁止。兄上が婚約者である以上、街で男に拐われるってのは基本ないと思うからもう講座はやめにしてお嬢様方は帰りなさい。俺と兄上はそろそろ公務があるから」
ヴァイス殿下は口論のタネだわ。
さっきから喧嘩してるの必ずヴァイス殿下と誰かじゃない。
「では、帰らせていただきますね」
私が扉へ向かってあるいていくと、「ベロニカ」とヴァイス殿下に呼ばれた。
「ドミ、行くよ」
それを無視して私はドミを呼び寄せる。
「はっ? おい待て!」
「ヴァイス殿下は公務。アインツ様、見送りお願いします」
「仮にも王子をコキ使っちゃうの? ま、ベロニカ嬢ならいいけど」
「そんなこと言ってると、コキ使いまくっちゃいますよ」
「いーよべつに。ドミニクとベロニカ嬢なら」
「それ、王族としてどうなんですか?」
「気を許せる相手がいるのはいいことだよ」
「だからって………」
「いーのいーのwww.」
「なんで最後笑ってるんですか」
「人をすぐに切り捨てることができてこその王族だからしょっぱなからそこまで心配する必要ないの」
ドミを引き連れてアインツ様と部屋を出ていく私を、ヴァイス殿下は呆然と突っ立っていた。
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