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「でね、同じクラスだった丸岡くんとか、蘭ちゃんとかも学部が一緒でね、今日はそのメンバーも含めてのお花見だったんだよー」
「はぁ……」
ファストフード店で向かい合い、椿と佐倉はハンバーガーを頬張る。
というか、なんでこうなったんだっけーー眉間に皺を寄せながら、椿はチーズバーガーにかぶりついた。
バイトを終えた椿はいつものように、駅の方向へ歩き出そうとした。しかし店を出た椿は、歩道脇のガードレールに腰をかけている人物に気付いて唖然とした。
「やっほー。バイト終わったー?」
なんと佐倉が椿に向かってにこやかに手を振っていたのだ。
「ねぇ、この後は帰るだけなんでしょ? じゃあ一緒にご飯でも食べようよ」
「えっ、だってお花見で食べたんじゃないですか?」
「食べたけど、それとはまた別腹かな」
あぁ、別腹か……それに関しては椿も納得がいく。ただ何故一緒に食べるのかは謎でしかない。
「ほら、積もる話もあるし」
「いや、私はありませんけど」
「まぁまぁいいじゃない! 行こう行こう!」
と背中を押されて今に至るわけだ。
とはいえ椿は佐倉と何を話していいのかわからず、黙々と食べ続けるしかなかった。
しかしそんな椿を佐倉がジーッと見つめていることに気付き、思わず目を逸らした。
「な、なんですか?」
佐倉はにっこり笑うと、持っていたハンバーガーをトレーの上に置く。
「委員長ってさ、ヒロくんのことが好きだったでしょ?」
「なっ……⁈」
「なんのことって? 私だってヒロくんが好きだったんだもん。知ってるよー」
椿はゴクリと唾を飲み、目を見開いた。
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