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これから始まるのはもしかして池田くんとの惚気話だろうか。もしそうならすぐに帰る準備をしないと心が保たない。
「なんか委員長、勘違いしてるかなーって思ってて」
「勘違い?」
「そう。言っておくけど、私は卒業式の日にヒロくんにフラれてるんだからね」
「……えっ⁈ だ、だってすごく楽しそうに話してたし……」
「フラれたら楽しく話しちゃいけないの?」
「そ、そんなつもりで言ったんじゃなくて……よく笑えたなって思って……」
「まぁ笑うしかないよね。元々結果はわかっていたし」
椿は驚いた。彼女ほどの人が、自分がフラれると予想していたなんて信じられなかった。
「ヒロくん、気になる人がいたんだって。だから私の想いを受け取ることは出来ないって言われちゃった」
「そ、そんな……」
「そうよ、こんなに頑張ったのにフラれちゃうんだから! だから委員長も告白してフラれてくれれば、悲しみを共有できたのになーってずっと思ってたんだよねぇ。まぁ委員長は私とヒロくんが付き合ってるって誤解してたみたいだから、せっかく偶然会えたし、とりあえず訂正しておこうかなって思って」
「でも今更訂正したところで、もう池田くんに会うこともないだろうし……」
あの時のことを、春が嫌いになるくらい引きずっているのに、池田くんと再会するなんてことが現実になるとは到底思えなかった。
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