家路

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初めて耳にするおゆきの胸の内に、そうだったのか、とわたくしの目からは(うろこ)が落ちました。 わたくしがおゆきを羨んでいた様に、おゆきもわたくしの事を羨んでいたのでした。 「良いのです。貴女はわたくしの妹ですもの」 旦那さまのお心を知った今となっては、おゆきの振る舞いや言われた事も水に流せました。 きっとこれから、実の姉妹の様に仲良く寄り添っていけるでしょう。 おゆきはもう胸が一杯になったらしく、「姐さん!」とおでこをぐりぐりとわたくしに擦りつけます。 嬉しくも戸惑うわたくしの頭を、旦那さまがそっと撫でてくださいます。 「もう、どこへも行かないでおくれ。おたま」 勿論でございます。 この命ある限り、旦那さまのいらっしゃるお屋敷がおたまの家なのです。 これからは、大好きな旦那さまの元を決して離れたりはいたしません。 いつまでも、おたまは旦那さまのおそばにおります。 その決意を込めて、わたくしは晴れた空にも響く声で「にゃあお」と鳴いたのでございます。
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