3人が本棚に入れています
本棚に追加
初めて耳にするおゆきの胸の内に、そうだったのか、とわたくしの目からは鱗が落ちました。
わたくしがおゆきを羨んでいた様に、おゆきもわたくしの事を羨んでいたのでした。
「良いのです。貴女はわたくしの妹ですもの」
旦那さまのお心を知った今となっては、おゆきの振る舞いや言われた事も水に流せました。
きっとこれから、実の姉妹の様に仲良く寄り添っていけるでしょう。
おゆきはもう胸が一杯になったらしく、「姐さん!」とおでこをぐりぐりとわたくしに擦りつけます。
嬉しくも戸惑うわたくしの頭を、旦那さまがそっと撫でてくださいます。
「もう、どこへも行かないでおくれ。おたま」
勿論でございます。
この命ある限り、旦那さまのいらっしゃるお屋敷がおたまの家なのです。
これからは、大好きな旦那さまの元を決して離れたりはいたしません。
いつまでも、おたまは旦那さまのおそばにおります。
その決意を込めて、わたくしは晴れた空にも響く声で「にゃあお」と鳴いたのでございます。
最初のコメントを投稿しよう!