終結までの憂き目

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三輪先生のコロコロと変わる話し方は交渉慣れして得られたものなのかと感じ、食事中の先生が素の先生だったのかと思うと 「フレンチブルか…」 「ぷっ…気に入ったのか?」 ううん…気に入ったわけではないと首を横に振る私の上から 「俺はヒョウ…気に入った」 また低く静かな声が落ちて来た。 ‘息子の不貞だとおっしゃいますけれど、息子は離婚の原因を夫婦生活がないことが問題だと言っておりましたわよ?’ 嘘でしょ…?しかも、先生には言ったけど…及川さんには… 「まだ本能の残った犬だったか…自分の身を守ったんだ、えらいな。あっちもこっちも抱くような奴に触れられたくないよな?気持ち悪い。病気でももらったらどうすんだよ。よくやった」 上から降って来ていた声の主は身を屈めると、私の耳元で電話に聞こえないように言ったあと、両手でぐしゃぐしゃに頭を撫でた。 「往生際の悪い息子さんのようですね。40にもなって保身しか考えられないなんて。僕が請求するってことは証拠も十分なワケです。過失で言えば100対0ですからね、日高さんに付く弁護士がいたところで、法的手続きをしてくれるだけで弁護のしようはありませんよ?もう帰りたいので失礼します。直接の連絡だけは、くれぐれも避けてください。あぁぁ、疲れた…ワケわかってない親子だな。ここで何を言っても1円も守れないのにご苦労なこった」 …最後は聞こえるように言ったよね、先生…
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