美魔女の苦悩

レス歴以上の浮気歴

「豊さん、真湖、またゆっくり来てちょうだいね。今日はありがとう」
「お義母さん、お疲れの出ませんように」
「また来るね、お母さん」

私、日高真湖(ひだかまこ)の祖父の十三回忌の法事のため、朝からお寺へ集まり、その後実家で会食となった日曜日の午後、まだ飲んでいる親戚より一足先に母に見送られて実家を出る。

「みんな喜んでた。ありがとう、豊さん」
「当然のことだよ。真湖、どうぞ」
「ありがとう」

十三回忌ということで近しい親戚だけの年忌法要で、私と結婚して5年の夫、豊(ゆたか)が祖父を知るはずもなく、私だけの出席でも良かったのだが夫は朝から私と一緒に出席してくれて、今は助手席のドアを開けてくれている。

私の両親とも私を通さずに定期的に連絡を取り、仕事帰りにケーキなどを持って立ち寄ることもあるマメな豊さんを両親が気に入っているのは明白で、今日はさらに株を上げたというところだ。

彼のマメさは結婚前からずっとで、私が28歳、彼が33歳で出会った直後から、リーダーシップを発揮するように率先して計画を立てデートの際も積極的にリードしてくれることに安心した。

重いものや高いところのものを取ってくれるような、さりげない行動は当たり前。私が怪我をしてしまった時、慌てず冷静に対処してくれた姿は非常に頼りがいを感じられるものだった。