4人が本棚に入れています
本棚に追加
…1…
(♦︎:華澄視点、♢麗花視点)
♦︎・♦︎・♦︎
カーテンの隙間から覗く夜の空の色は1日が終わろうとする合図。
夜は嫌いだ。
暗い空の色、空気もすべて、重くて暗くて、嫌に静かで………考えたくもないことを、考えてしまうから。
布団に潜る。さっさと眠ってしまえればいいのに、頭の中ではぐるぐると、嫌な記憶が渦巻く。
学校でした、ちょっとした失敗とか。
あの時こうしてれば、こう言っていれば。そういう、小さな後悔とか。
___思い出したくない、過去の出来事とか。
「………………っ、ぅ、」
吐きそうになって、口元をきつく押さえる。嫌な汗が背中を伝い、酷く気分が悪かった。いつものことなのに、毎度体が震えた。
もぞもぞと体を動かして、枕元に手を伸ばす。
小さな薬瓶。そこから、音を立てないようにしながら手のひらに錠剤を転がす。個数なんて確認せずに口に放り込んで、ラムネを食べるみたいに噛んだ。
口の中に広がる苦み。不味いのに、ちょっと気持ちが落ち着くような気がして、それがさらに、私の心をざらつかせた。
夜が嫌い。
嫌な現実から逃げきれない、夜が嫌い。
何よりも、そんなことを思ってしまう自分が、大嫌い。
布団を頭まですっぽりと被る。
ちょっとした息苦しさが、どうしてか心地よかった。
このまま、呼吸がとまってしまえばいい。
明日なんてこなければいい。
歪んだ願いをかけているうちに、意識が眠気の奥に沈んでいった。
最初のコメントを投稿しよう!