サクラ散るらむジャカランダ咲く

「それでは質問を受けます。質問のある方は挙手の上、指名された順に所属、氏名を名乗ったうえで一人一個まででお願いいたします」

この後、数回の質疑応答が繰り返された後、サクラについての質問があった。

「ジュマ・イシュマエル博士、アフリカ共同通信のディオと申します。今までのデータ通信の記録で『世界にサクラというものがなかったら良かったのに』というメッセージの真の意味が解釈できそうだとのことですが…。我々の認識ではサクラが人類の衰退に何か関与があったのかという懸念がありました。今回の発見されたデータの中に、もしサクラのDNAデータも含まれていたとしたら推測どおり、それは非常に危険な植物と推測されますがいかがなものでしょうか？」
「我々は、過去の植生にサクラという広葉樹があることを知っておりますが、通信記録から、何故サクラが嫌われていたのか？との疑問が常々ありました。もう半月もすればその正確な理由も発表できるかと思います」
「差し支えなければ、博士の現在の見解をお知らせください」
「過去の学説では、最後のデータ通信記録からサクラというものが当時の人々に禁忌のごとく嫌われていたというのが通説です。その由来はナイロビ11の残された記録の一部から推測したものです。だが、今回発見されたデータを照合すると、その前後にもメッセージがあり、真相はどうやら全く反対の解釈だった可能性があるのです。まあ公式な発表はまだ先ですが、いいでしょう。真実をお話しいたします」