サクラ散るらむジャカランダ咲く

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2079年12月25日 朝テレビのスイッチを入れると、ニュースキャスターが淡々としゃべっている。アンディ・ファラージは朝食をとながらその画面を眺めていた。 「みなさま。2079年12月25日、クリスマスおめでとうございます。もうご存じのとおり我々人類の文明を支える国家連合のエネルギー配給は長くともあと六日ほどしか持ちません。七日後の新年には国家連合からの電力の供給は止まります。皆さまは所属ネーションの指示に従って行動してください。皆さまにおかれましては.......」 そこへナオミ・フランチェスカ・ミランボが二日酔い気味に表れた。 「おはよう、ナオミ。良く眠れたかい」 「おはよう。みんなは?」 「博士以外は大深度シェルターに潜ったよ。博士も昼前には行くてっさ。結局、小型シェルターに残るのは、予定どおり地上の定期観測を志願した僕と君だけさ」 「ねえ、アンディ。このシェルターだけど、ナイロビ11って呼びづらいわ。他の名前をつけてもいい?」 「かまわないよ、ナオミ。これから徐々に調整していくから。きっと僕たちはうまくやっていけるだろう。他には?」 「そうねぇ。おいしい紅茶を飲みたいわ。あと植物の種も」 「おいおい。大型シェルターじゃないんだぜ。武器と食料優先だから嗜好品はこれ以上はまずいんだけど。昨日そのつもりでみんなでごちそうを食べてサヨナラパーティしたんじゃなかったけ?」
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