(一)

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「それならそうと事前に連絡を寄越しなさいよ。お父さん、もう寝ちゃったわよ」 「同窓会に出るだけだから」 「いつあるの?」  母親がソファから体を起こしながら愛希子に尋ねた。 「明日の夜」 「そう。何か食べる?」 「うん。軽く何か作ってくれるとうれしい」  母親は立ち上がるとダイニングからキッチンへと入っていった。 「ところで、いくちゃんちって……」  母親の代わりに愛希子がソファに腰掛けながらそう切り出した。 「ああ、郁美ちゃんの家ね」  緒華が娘の声を途中で遮った。母親もそのことを話したかったのだろうと愛希子は察した。 (続く)
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