(二)

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(二)

 翌日、駅前の居酒屋に入った。『上州鳥酒場 国定忠太郎』と書かれたのれんをくぐり、店に入ると「佐野じゃねえか、いらっしゃい」と青いはっぴを着た男性に威勢よく声を掛けられた。  愛希子が誰かわからずに「あの、今日予約で来たのですが……」と言いかけると、「おう、奥の座敷だ。ていうか、佐野、俺の事覚えてないの?」と男性は言った。 「俺だよ、岩宿だよ」  そう言われて愛希子は一瞬考え込んだが、思い出し、「あー!」と声を上げた。 「サッカー部のお調子者の岩宿か」 「そうだよ、誰だと思ったんだよ」  そう笑い合うと「懐かしい顔が結構集まってるぜ、早く行きなよ」とせかされて、愛希子は店の奥の座敷へと向かった。 (続く)
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