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 結局のところ「君たちの言動は全て影に録画されているから浅知恵な悪巧みはバレバレだよ。見苦しいから辞めた方がいいよ」という壮真の一声で、呆気なく幕を閉じた。二人は「影」の監視の件は、幼児に言う事を聞かせる為の作り話だと思い込んでいたらしい。火護当主夫妻からは平身低頭で謝罪を受けた。だが何より意外だったのは、両親から謝罪を受けた事だ。 「牡丹は容姿以外取り柄が無いから、優秀な姉を持って卑屈にならないよう自由にさせたつもりが甘やかし過ぎた」 「美桜は聡い子だから解ってくれる筈、とあなたに甘え過ぎたわ」  何と事はない。しっかりと美桜は両親に愛されていたのだ。自分はいらない子だと勝手に思い込んで無意識に悲劇のヒロインを気取っていただけだった。  やはり、桜は嫌いだ。桜を見ると、独り善がりが過ぎて穴があったら入りたいくらい恥ずかしい自分を思い出すから。  凌有責で婚約破棄が成立。彼は再教育の一環として星宮家の専属運転主見習いとなった。牡丹は秋季皇霊祭の舞姫を務める菊乃の侍女見習いとして鍛え直す事となった。二人とも期間は三年、その出来具合で配属が決まるという。プライドが高い彼等にしてみたらこの上無い屈辱だろう、十分な罰だ。親衛隊は三か月の自宅謹慎と奉仕活動が課せられた。  春季皇霊祭当日未明、神楽鈴がシャン、と鳴った。冷え冷えとした空気が和らぐ。巫女の衣装に身を包んだ美桜だ。左手の神楽鈴を鳴らした途端に、ボッと篝火が美桜の行く手を照らす。美桜はゆっくりと舞台の中央に向かいながら再び神楽鈴を鳴らす。鈴が鳴る毎に、祓い清められるていく。右手に持つソメイヨシノの一枝を天に掲げた。篝火に赤々と照らされた蕾がふわりと綻ぶ。ふわり、ふわりと一つ、また一つと。見る間に満開となった。自然を称え、万物に感謝を捧げる祈りを込めながら、美桜は舞い踊る。  凌が務める筈だった篝火の代役は、急遽星宮壮真となった。右手に松明を掲げ、美桜に真剣な眼差しを向けている。彼自らが篝火役に立候補した事、同時に壮真が美桜の婚約者となった事を彼女が知るのは、奉納舞を終える頃……
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