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フラグのコメントから察するに、やはり、日南には彼氏がいた。そして、フラグに相談するということは、何かアリバイ作りをしなきゃいけない、やましいシチュエーションになったということなのだろう。
「愛が行き過ぎて帰着するのは、人によって違うけど、自然界のどこかには存在する生き物と同じ行動を取るんだよ。キミの先輩のケースは、タカアシガニと一緒だね」
(タ、タカアシガニ?)
芽衣がフラグを見ると、フラグは、持ってきた衣装を袋に詰めていた。
「タカアシガニって、何ですか?」
「ああ、失礼失礼。ちょっと、しゃべりすぎちゃったね。ゴメン、忘れて、今の。それより、この服なんだけど……」
タカアシガニなんていうパワーワードを忘れられるわけがなく、芽衣は、焼印を押されたかのごとく、はっきりと頭に刻まれてしまった。
海底を歩く、カニのカップルがぼんやりと映像化されていく。横向きにしか歩けないことを活かして、お互い、見つめ合いながら移動している。
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