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プロローグ
かつての駐車場は、空き地になってからもずいぶんと放置されていたのだろう。一面のアスファルトは古びた色をして、穴ぼこだらけになっている。車輪止めのようなコンクリートブロックの上に置かれた古いラジカセから、1950年代の洋楽が流れていた。
輸入した古着を売る店がひしめく大阪市西心斎橋地区――通称アメリカ村――の一角。
空き地にはハンガーラックが所せましと並んでいて、どのハンガーラックにも、隙間なくユーズドシャツが掛かっていた。どれも十年も二十年も前に作られた服なのだろうが、今着ても違和感が無いデザインが多い。
この日、この空き地で開催されているフェアには、複数の人気店が出店しており、日曜の昼過ぎということもあって、買い物客で溢れていた。
夏の大阪特有の蒸されるような暑さの中、空き地の奥にあるスクラップ車の陰から、男たちの言い争う声が聴こえてきた。
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