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それでも、徹頭徹尾、筋が通っているのなら許してもいいのだけど、女の前で理屈をこねる男は、それすら破綻していることがほとんどだ。
――芽衣が、いつも、そばにいてくれるから、オレは安心して好きなことに打ち込めるんだ。男の生きがいってやつだよ。芽衣のことが、一番好きなんだよ、オレは。だから、わかってくれよ――
「芽衣さん? どうかしましたか?」
ぼんやりと浮かびかけていた歯並びの良いアゴヒゲを蓄えた男の顔が、雲散霧消した。はたと気付くと、にょっきりと首を伸ばしたフラグの顔が、すぐ目の前にあった。
「あ……あ、はい、すいません。な、なんでしたっけ?」
「いや、大した話じゃないんですけどね……。もう、お気づきかもしれませんけど、ボクは、人間を含めた生き物……動物に、興味があるんですよ。特に、その本能に関するところにね。フフフ」
そういう言われ方をすれば、特段、変な趣味でもない。
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