1.アリバイ作り

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 動物好きは星の数ほどいるし、好き過ぎて探求心をくすぐられ、特定の分野に特化して詳しくなろうとする人間だって、山ほどいるだろう。 「そうなんですね。具体的に、面白い本能がわかったとか、あるんですか?」 「ああ、そういえば、キミの先輩の依頼は、面白かったよ。彼氏との関係で悩んでたみたいだったけど」  脳裏に、日南の顔が浮かんだ。  芽衣は、自分のことばかり考えていて気にしてなかったけど、日南は、芽衣よりも先に、フラグに偽のアリバイを作ってもらっている。 (日南さんに、何があったんだろう……)  日南は、芽衣の二年先輩だが、芽衣は日南の私生活をほとんど知らない。 「アラサーの歳になっちゃったから、早くいい人を見つけないとね。ヤバいよね」と、冗談めかして言っていたことは覚えている。  彼氏と破局した芽衣に気を使ったのか、私生活をバラしたくないのかはわからなかったけど、スタイル抜群で、芸能人のような美人の日南がフリーであるわけがないので、芽衣は愛想笑いをして、聞き流していた。
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