16人が本棚に入れています
本棚に追加
「だ、大丈夫ですか? そ、そんなので、上手く、いきますか? 別人だって、すぐにバレるんじゃ……」
芽衣が言い終える前に、フラグは、胸ポケットから写真を取り出し、テーブルの上に並べ始めた。見ると、それらは、防犯カメラに映った写真で、どれも芽衣に似た女性が、受け取ったものと同じ服を着ていた。
「あなたに、似てるでしょ?」
「た、確かに……。でも、これらって……」
「少しは、質問を受け付けますよ。企業秘密もありますから、あなたの疑問に、どこまで答えられるかは、わかりませんけど」
芽衣には、確かめたいことがいっぱいある。
浅く座り直してテーブルに手をついた時、フラグは、人差し指を唇に当ててきた。
「まあ、聞きたいことは、だいたいわかりますから、先に説明させていただきますね」
芽衣は、固まった。素早い切り返しに意表をつかれたこともあるけど、それだけのせいではない。
彼氏以外の人間に、唇をこんなふうに触られたことなど、これまでになかったからである。
(な、なになになに? 何よ、この状況。わ、私、なんで、こんなことされてるの?)
最初のコメントを投稿しよう!