1.アリバイ作り

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「だ、大丈夫ですか? そ、そんなので、上手く、いきますか? 別人だって、すぐにバレるんじゃ……」  芽衣が言い終える前に、フラグは、胸ポケットから写真を取り出し、テーブルの上に並べ始めた。見ると、それらは、防犯カメラに映った写真で、どれも芽衣に似た女性が、受け取ったものと同じ服を着ていた。 「あなたに、似てるでしょ?」 「た、確かに……。でも、これらって……」 「少しは、質問を受け付けますよ。企業秘密もありますから、あなたの疑問に、どこまで答えられるかは、わかりませんけど」  芽衣には、確かめたいことがいっぱいある。  浅く座り直してテーブルに手をついた時、フラグは、人差し指を唇に当ててきた。 「まあ、聞きたいことは、だいたいわかりますから、先に説明させていただきますね」  芽衣は、固まった。素早い切り返しに意表をつかれたこともあるけど、それだけのせいではない。  彼氏以外の人間に、唇をこんなふうに触られたことなど、これまでになかったからである。 (な、なになになに? 何よ、この状況。わ、私、なんで、こんなことされてるの?)
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