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「別になめてなんか、いません。すごいなって、マジメに思っていますよ。今回は、段取りしてもらって、ありがとうございました」
「とんでもない。これが、ボクのお仕事ですから」
「いや、だとしても、ぬかりなくて、完璧で、さすがです」
芽衣は出口に向かって歩きながら、本当にそう思っていた。人間性はともかくとして、仕事は出来る男だと、フラグのことを認めざるを得ない。
「あ、ちょっと待って芽衣さん。まだ、あなたが飲んでいたバーの情報をお伝えしていませんよ」
芽衣は、フラグに呼び止められ「あ、そっか、確かに」と振り返る。
フラグは、子供の行動を微笑ましく見守る親のように、目を細めて笑っていた。
裏社会で生きているとは思えない、なんの曇りもない笑みである。
「ど、どこだっけ?」
フラグは、スキニーパンツの後ろポケットから、畳まれた紙を取り出した。渡された紙は、しっとりとしている。
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