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何度も、何度も、脳天からおでこに向かって、大きな手のひらで撫でてくる。
コミュニケーションの取り方が、独特だけど、今や、これぐらい積極的にスキンシップをとってきてくれることが、心地よくなってきている。
「そ、そんなに、私のことを気遣ってくれるなんて……」
と猫なで声を出してみたら、フラグの手が止まった。
見上げると、フラグが目を見開いている。輝く黒目が、くっきりと見えている。
なぜだろう、キツネのようだと思っていたつり目は、これはこれで、凛々しくてかっこよく見えてきた。元々、背も高くて、鼻筋も通っているので、イケメンと紹介されれば、そうだと言えなくもない。
フラグと目が合ったまま、時間が止まったかのように、ゆっくりと時が流れていく。
いや、フラグの妖艶な眼差しが、芽衣の思考を麻痺させているらしい。媚薬が全身にまわっていくかのように、意識がもうろうとしてきて、体の自由が利かなくなってきている。
目を閉じようか……どうしよう……と、迷っていると、フラグは、両方の鼻の穴を大きく開いて、顔の前で手を振った。
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