1.アリバイ作り

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 芽衣は自宅に帰り、もらった服を着てみた。鏡の前に立つ。  白いノースリーブのカットソーに、鮮やかなグリーンのフレアパンツ。厚底のサボサンダルまで履くと、とても爽やかなコーデに仕上がった。  以前は、こんな服も着た。最近は、暗い色の服しか着なくなった。  誰に見てもらうわけでも無く、誰かに見られたいとも思わなくなったから。  隆哉は、ミステリアスで知性的で、そんなところが好きだったのに、その裏にあんなことがあったなんて……と、芽衣はあの日々を思い出した。  ――三カ月前。  スターバックスコーヒーの席を確保していた芽衣は、テーブルの上に置いてあった隆哉のスマートフォンの通知を見てしまった。 「ユナって、誰?」  トールとグランデのプラカップを持ってきた隆哉は、席に座る前に表情を曇らせた。 「えっ? 見たの?」 「見えたのよ、着信通知が」 「あ、ああ。会社の子だよ」 「うそ。会社には男の人しかいないって、言ってたじゃない」 「い……いや、その……最近入れたんだよ。ほら、事業も大きくなってきたし、会計とか、事務系の仕事をしてもらうためにさ」
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