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芽衣は自宅に帰り、もらった服を着てみた。鏡の前に立つ。
白いノースリーブのカットソーに、鮮やかなグリーンのフレアパンツ。厚底のサボサンダルまで履くと、とても爽やかなコーデに仕上がった。
以前は、こんな服も着た。最近は、暗い色の服しか着なくなった。
誰に見てもらうわけでも無く、誰かに見られたいとも思わなくなったから。
隆哉は、ミステリアスで知性的で、そんなところが好きだったのに、その裏にあんなことがあったなんて……と、芽衣はあの日々を思い出した。
――三カ月前。
スターバックスコーヒーの席を確保していた芽衣は、テーブルの上に置いてあった隆哉のスマートフォンの通知を見てしまった。
「ユナって、誰?」
トールとグランデのプラカップを持ってきた隆哉は、席に座る前に表情を曇らせた。
「えっ? 見たの?」
「見えたのよ、着信通知が」
「あ、ああ。会社の子だよ」
「うそ。会社には男の人しかいないって、言ってたじゃない」
「い……いや、その……最近入れたんだよ。ほら、事業も大きくなってきたし、会計とか、事務系の仕事をしてもらうためにさ」
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