1.アリバイ作り

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 隆哉は、スタートアップ企業を起こしていて、「今が上手くいくかどうかの瀬戸際なんだよ」が、口癖だった。  だから、土日でも祝日でも働いていて、こうして会えるのはたまにしかない。寂しいけど、我慢していれば、その分、会えた時が嬉しいし、ベンチャーの社長と付き合う女の宿命だと、自分に言い聞かせてきた。  でも、”ユナ”から届いたメッセージは、心の中でずっと信じてきたものを崩壊させた。 『明日は、朝、10時にいつものとこだったよね? 楽しみだな……』  芽衣は、その場では、それ以上追及することはせず、ユナからのメッセージを読んだことも伏せておいた。  次の日、こっそり隆哉をつけると、女と会っていた。芽衣は、仕事だと聞いていたのに。  芽衣とデートしている時よりも、ずいぶんと隆哉は楽しそうにしている。きっと、この女がユナなのだろう。  その日から、いろんなことがわかった。
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