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隆哉が会っている女は、芽衣以外に少なくとも三人いること。その中の一人であるユナに特に夢中のようで、頻繁に会っては、時々、ジュエリーをプレゼントしたりして、尽くしていること。
そして、何より、ベンチャー企業の社長ということすら嘘で、親が不動産をいくつも持つ資産家なだけで、隆哉は働いてすらいなかったこと。
芽衣が、それらを問いただした時、隆哉は動じなかった。
「芽衣が、いつも、そばにいてくれるから、オレは安心して好きなことに打ち込めるんだ。男の生きがいってやつだよ。芽衣のことが、一番好きなんだよ、オレは。だから、わかってくれよ」
隆哉は、女遊びを生きがいだと言って、開き直った。
芽衣は、怒りに任せて、隆哉をののしり、罵声を浴びせ、最後にはアイスティーを顔面にぶちまけた。
「しょうがないな……。じゃあな」
隆哉は、謝ろうとはせず、逆ギレすることも無く、ただ、そう言って去っていった。
いつも、持論という屁理屈をこねて、丸めこもうとする隆哉なだけに、その態度が本当の終わりを告げているということは、芽衣にもわかった。
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