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それからは、暗澹たる日々が続いた。会社の人に相談して、勧められたマッチングアプリを登録してはみたけど、先に進む気にはなれない。
芽衣は、新しい恋愛が出来る気がしなかった。
忘れようとしても忘れることは出来ず、気付くと芽衣は、毎週末、隆哉を追いかけるようになっていた。
声をかけたりはしない。ただ、そっと、隠れて後ろから眺めるだけ……まるで、陰湿なストーカーのように。
復縁の願いが叶うという神社に行って、絵馬に願い事を書いても、自分がおかしな行動をしているとは思わなかった。
警報が出そうなほど大雨になった日曜日、隆哉をつけると、隆哉は、駅前通りにある自販機の陰に隠れた。時折、改札口の方をうかがい、誰かが出てくるのを待っているようだった。
数分後、ユナが改札から出てきた。また、この女と待ち合わせしていたのかと、ため息がもれる。
でも、様子がおかしかった。
ユナは、隆哉を見つけても、さしていた傘をひるがえし、そっぽを向いて行ってしまったのである。
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