1.アリバイ作り

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 それからは、暗澹(あんたん)たる日々が続いた。会社の人に相談して、勧められたマッチングアプリを登録してはみたけど、先に進む気にはなれない。  芽衣は、新しい恋愛が出来る気がしなかった。  忘れようとしても忘れることは出来ず、気付くと芽衣は、毎週末、隆哉を追いかけるようになっていた。  声をかけたりはしない。ただ、そっと、隠れて後ろから眺めるだけ……まるで、陰湿なストーカーのように。  復縁の願いが叶うという神社に行って、絵馬に願い事を書いても、自分がおかしな行動をしているとは思わなかった。  警報が出そうなほど大雨になった日曜日、隆哉をつけると、隆哉は、駅前通りにある自販機の陰に隠れた。時折、改札口の方をうかがい、誰かが出てくるのを待っているようだった。  数分後、ユナが改札から出てきた。また、この女と待ち合わせしていたのかと、ため息がもれる。  でも、様子がおかしかった。  ユナは、隆哉を見つけても、さしていた傘をひるがえし、そっぽを向いて行ってしまったのである。
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