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隆哉は、ユナを追いかけ、声をかけていた。無視されても話し続け、ついには、それでも立ち止まろうとしないユナの腕をつかんだ。
ユナは振り返り、覚醒したかのように、急に激高した。掴まれていた腕を振り払い、肩を押して、二度と顔を見せるなと、罵声を浴びせる。
傘を落とした隆哉の表情が変わった。
いつも冷静沈着で、何を考えているか読めない表情ばかりしていた隆哉が、感情をむき出しにして、ユナに襲い掛かった。
悲鳴を上げ、傘を投げ捨てて逃げようとするユナを押し倒し、隆哉が馬乗りになる。
右手に光るものを握り、隆哉は、何度も何度も、その右腕を振り上げては、ユナの体に振り下ろしていた。
芽衣は、すぐ目の前で何が起きているのか理解していた。一番近くにいるのが自分であり、すぐに止めなければ、大変なことになることもわかっている。
それでも、芽衣は眺めているだけで、止めようとはしなかった。
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