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ユナは死んでしまっても構わないし、隆哉が捕まって牢屋に入ってくれれば、もう、こんなふうに追いかけ回さなくても済むかもしれない。
なぜかはわからないけど、涙が出ていた。
なぜだかわからないけど、おかしさがこみ上げてきた。
やってはいけないことをやっていて、止めなきゃいけない時に止めないでいて、自分は、なんてクズなんだろうと、自嘲して笑った。
異変に気付いた正義感の強い人たちが、芽衣を追い越して、二人を引きはがしに行く。
騒ぎになり、人だかりが出来た。
隆哉が、数人の男たちに、取り押さえられていた。観念したのか、もう動いていない。
傍らには、血の付いた包丁が落ちていた。
ユナの体から流れ出た血が雨水と混じって、アスファルトに広がっていく。
芽衣は、その場を立ち去った。現場にいたこと、現場で何もしなかったことを、誰にも知られたくは無かった――
こんな鮮やかな色があったと思い出すほどに、フレアパンツの爽やかなグリーンが眩しい。
芽衣は、鏡の中の自分と目が合い、口元が緩む。
(未練がましく、いつまでも引き摺って、バカみたい)
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